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ダッジバンATミッション修理

不具合の症状
AT変速せず。
前進とバックは出来る
不具合箇所の予想
シフトソレノイド不良、あるいは、ガバナーバルブ、ブレーキバンドなどが破損?

走行テストしてみると、ローから変速していかない。
リバースは正常のようだ。

クラッチが滑る様子はなく、制御系のトラブルではないか?

シフトソレノイドが動いていないか、車速の情報が入っていないのでは!
車速センサーは電気式ではない、ガバナバルブが使用されているので、破損しているかもしれない。

最悪は全バラにしてオーバーホールしなければならない可能性もある。

コントロールバルブのシフトソレノイド不良であれば、車載状態で修理可能だが、シフトソレノイドではない場合は、ミッションを降ろさないと何も出来ないので、最初から覚悟を決めてミッションを降ろす事にした。

ダッジバンAT修理

まず、降ろしたらオイル漏れや各部の状況をよく観察しながらきれいに洗浄します。

オイルパンを外してみると、オイルもキレイで異物も全くなく、クリーンな状況!

ドライブプレート(摩擦版)などに異常はない模様。


ダッジバンAT修理

油圧を制御するコントロールバルブ部分。

見た限りでは、キレイだし動きの悪い部分はなさそうだ。

多分バルブボディーはなんでもないだろう!


ダッジバンAT修理

シフトソレノイドは二つ。

なにもデーターがないのだが、抵抗を測ってみると、国産の物とほぼ同じ!

シフトソレノイドは、要するに電磁石なので、抵抗が無限とか、ゼロと言うのはおかしい訳です。


試しに、12Vを直に通電してテストしてみると、「カチ」っと音がして、作動していました。

シフトソレノイドは、単純にオン、オフでバルブの開閉に使うだけでなく、デューティー制御されている場合もあるので、単純に通電テストで「カチ」っとなれば、OKではない場合もあるので注意!

でもこのミッションは、古い形式なので単純なON、OFF用だろう!

シフトソレノイドも「シロ」でしょう!

ダッジバンAT修理

バルブボディーを取り外して内部を観察!

まったくクリーンで破損した異物などは見当たりません。


ダッジバンAT修理

リヤのエクステンションハウジングを外して、クラッチ類を外して、残る容疑者「ガバナバルブ」が見えてきました。

ガバナバルブは、車速センサーなのですが、電気を使わずに、シャフトが回る遠心力でバルブが移動して、油圧を変化させています。


車速の情報がなければ、ミッションは変速していかないのは当然ですから、ここが怪しいと思ったわけです。

ダッジバンAT修理

しかしよく観察しても、破損している様子もなく、ゴミも見当たりません。

そもそも、このガバナバルブは初めて見たので、遠心力でこのバルブが動くのか?・・・と触ってみると、「カチッ」・・・と動いた。

なんとなく、外側に張り付いていたような手ごたえだったが?


でもそれ程、きつく張り付いていた訳でもなく、この程度なら、油圧がかかれば当然か?

ダッジバンAT修理

ガバナバルブを分解してみる。

特に複雑な仕組みではなく、やはり遠心力でバルブが外側に移動する量を、油圧に変換するような仕掛けになっている。


ダッジバンAT修理

バルブの動きも悪くなく、ひどくキズが付いている箇所もない。

一つ気になったのが、このバルブの先端部分になぜかアルミのワッシャーの様なものが張り付いていて、ほんの僅かバリが出ている。

ワッシャーが磨耗してしまっているような感じに見えるが・・


ダッジバンAT修理

このアルミワッシャー?の僅かなバリのせいで、バルブが一番外側に移動した時僅かに引っかかってしまう。

しかしちょっと押せばすぐに移動するのでそれ程影響ないのでは?


しかし、部品図を見ても、バルブの端っこにワッシャーのような部品が付くようには書いていない。 単純に、バルブが当たって磨耗してこんな風になっているのか?・・・

でもやはりこの部分が怪しいので、ガバナーバルブを交換する事にした。

しかし、部品はメーカーにも在庫がなく、アメリカ本国にオーダーしなければ入手不可能!・・・との事!

リビルトミッション屋に、部品を卸している業者に問い合わせしてみたところ、ガバナーバルブは「リペアーキット」があるとの事だ。

でもそのリペアーキットも日本になく、お手上げ状態!

部品屋がリビルトミッション屋にそれとなく聞いてくれたのですが、ミッション屋いわく「そんなところ壊れないぞ!」との事。

そう言われると、確かにここが故障の原因でないような気もする・・・・

部品が入手出来ないので、バルブをやすりで削って、完全に引っかからないようにして組み立てた。

他に原因がある可能性もあるが、他の部分に不具合があるような気がしない!なんとなく勘なんですが・・・

これ以上分解すると完全にオーバーホールになってしまうので、直ってなくてやり直しになる可能性もありますが、いったん組上げて搭載してみる事に!

今までにも、組み立てをミスったりしてミッションを搭載しも直っていなくて、
またやり直して搭載して・・・・

と言う事を何度も経験していますので、
「ミッションの脱着くらいどうって事ない!」・・と思っています。

慎重に組上げて、車両に搭載してオイルを入れて、各部を点検後テストです。

エンジン始動!どろろろろー・・・ドライブにシフトして、いざ出発!

どろろろろろろろーーーーどろろろろろろろーーーどろろろろろー!!!!!

やったぜ!変速したぜ〜
ざまー見ろってんだー・・・・・・・

DORORORORORO・・・・・・・・DORORORORORO・・・・・・・DORORORORORO・・・・・・・