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 「クラウン病」を徹底研究!その2、「クラウン病」の根本的治療!

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旋回時、左右のタイヤが行きたい方向に行けず引っ張り合っているので、ステアリングリンケージにお大きな負担が掛かり、ガタが出やすい!

この事が、そもそも「クラウン病の元凶」ではないでしょうか!!

・・・・と説明しましたが、
じゃあ、これを改善する為に、左右の切れ角を最適に変更できるのでしょうか?

旋回時の切れ角差を変化させるには、設計時の「アッカーマンステアリング」のジオメトリーを変えなければなりません。
理屈上では、左右ロアボールジョイントからナックルアーム先端を結ぶ線が、リヤデフセンターで交差するのが理想のようです。実際には、他のいろんな条件が加わるので、そんなに単純ではないでしょう。

実際にクラウンでは「アッカーマンステアリング」のジオメトリーはどうなっているのでしょうか?
簡単な実験をしてみました。


まず、左右ロアボールジョイントからナックルアーム先端をひもで延長してみました。

正確ではありませんが、目安にはなります。


ロアアームボールジョイントから、ナックルアームジョイントを延長したラインが、リヤデフセンターに向かっていくのが理想です。(多分ね!)



左右のひもの指す方向はこんな感じでした。

左右のひもがデフのセンターで交差するのが理想ですが、
かなり外に広がっていますし、左右の差もあります。

この状態だと、旋回時には、左右の角度差が少ない「トーイン」気味になっていると思われます。
本来は、旋回時にもっと「トーアウト」気味になっていないとスムーズに旋回できないのでしょう。
やはり外側タイヤの「ズズズズ」はこれが原因だと思います。

しかし左右差があるのはおかしい!
ナックルアームが曲がっているのか?

下廻りを見た感じでは、ハードにぶつかった痕跡もないので、ナックルアームが曲がっているとは思えない!
しかしこのひもの指す方向を変えるにはナックルアームの角度を変える以外に方法はないので、新品の左右ナックルアームを注文してみました。

もしナックルアームが曲がっていれば、新品に交換するだけで、症状が改善されるかも!

しかし部品はメーカー在庫なしで、10日ほど納期が掛かるそう!さすがトヨタ!・・・

部品が来る前に試しに実験してみます。
まずこのままの状態で、タイロッドを縮めて、ひもの交点がデフセンターになるように調整してみます。
かなり極端な、トーアウトになりますが、旋回時の左右タイヤの向きは正常になり「ズズズズ」とならなくなるのでは?

実際にリフトから降ろした状態で、見た感じでもフロントが開いて見えます。サイドスリップ計測でOUT20以上は行きそう!

試運転してみます。
低速でフルロックまでステアして旋回してみるとみごとに「ズズズズ」はなくなりました。
すこし走行してみましたが、違和感なくスムーズ!ステアリングの戻りがすごく良くなったぞ!

予想より、劇的に良くなった感じですが、極端にトーアウトなので、タイヤの変磨耗は確実!
やはりアームの角度を最適に調整したい。

クラウンの場合は、ナックルアームがスピンドル一体式ではないので、アームのみ取り外す事が出来ます。

取り外して観察してみましたが、曲がっている感じには見えません?

アームの角度を変えるには、曲げるしかないので、万力に挟んでパイプで曲げを試みましたが、曲がらない!
酸素であぶって曲げるしかないと思う!しかしここで曲げてしまうと、新品と曲がりを比較出来なくなるので、そのままにしておく事にした。
しかし、この鉄の棒が通常走行でそんなに簡単に、曲がるはずないと思うが・・・・

ナックルアームの指す角度ががもっと内側になれば良い訳で、アームの取り付け部分にスペーサーを噛まして調整して見る事にした。
これでアームの角度がかわったのと同じ事になる。


スペーサーは、アッパーアームの調整に使うシムで、各厚みがあるので便利!

とりあえず左のみ2ミリのスペーサーを入れて実験!
すると予想とはちょっと違う反応。
左旋回はスムーズになったが、右旋回では「ズズズズ」の症状!
この事は、左右タイロッドの長さが同じでないと旋回時に問題になる証拠でしょう!


今度は、右も同じ2ミリのスペーサーを入れてトーインも0付近になるように調整。

ひもの交点はかなり内側に移動した。

この状態で走行してみると、左右ともに旋回時の「ズズズズ」はなくなり、直進性も安定している。
しかし、おもいっきりトーアウトの時のほうが、旋回時の感触と、ハンドルの戻りは良いように感じた!
さらにアームの角度を内側にもっていけば、良くなるかも!・・・・



しかし、
新品のアームが届いたので、交換してみることに・・




古いアームと比べてみると、穴あけ位置の芯がずいぶんズレてる!

おいおいおい・・・・と思ったが、左右の穴の距離が正確であれば、影響ないか?
多少ずれてもアームの角度に影響しないので大きな問題ではなさそう!
それよりも、アームの角度が問題!



間単に穴位置を写し取って、比べてみるも、違いは微妙!!!
まあ付けてみれば分かる事!
左右ナックルアームを新品に交換してみると、おもいっきりトーインに!
タイロッドを調整して、トー0付近に調整すると、最初の状態とほぼ変わらず!
やっぱ、アームはほとんど曲がっていなかった模様!
いちよう走行テストしたが、右も左も「ズズズズズズ」・・・・・・・

結局新品アーム交換も症状改善に至らず!
しょうがないので、新品アームのまま、またシムを入れて調整する事に!


前回は2ミリのシムをいれたので、さらに厚くして、左3.2ミリ、右3.0ミリのシムを入れて、さらに感触が良くなることに期待!

ちょっと入れすぎな感じだが、ひもはちょうどデフセンターで交差する角度だ。
(リフトにに上がった状態なので、実際はもっと手前で交差するはず!)なので入れすぎと思う!

走行テスト!
やはり左右とも「ズズズズズ」の症状は出ない!
しかしなんとなくハンドルの戻りが悪いか?
ステアリングの直進性も以前のほうが良かったような気がする!
アームの角度を変えても、直進時のアライメントに影響はないのでは?気のせいか?

なんか、ステアリングの感触に注意深くなっているので、感覚が麻痺してきたかも!
最初の状態もこんな感じだったっ気もするが・・・・・

いちよう症状は改善できたが、完璧にOKと言う感じではない!
スペーサー2ミリの時の方が感触は良かった感じだが、僅かな差だ!

あとは、アライメントを正確に測れる機材を使用しながら調整しないと、これ以上煮詰めるのは無理そう!

とにかく、この実験で感じた事は、旋回時と直進時のアライメントを完璧に両立するのは難しいようです!
双方の妥協点を探すのが車の設計なのかも?

 結論

もし「ズズズ」の症状がでるようなら、ステアリングリンケージに負担がかかっています。
それは「クラウン病」になり易い状況を示しています。

「ズズズズ」の症状は、太いホイル&タイヤにするほど状況は悪化しさらに負担が増えてしまいます。

ナックルアームの角度を僅かに内側に向けてやれば、リンケージにかかる負担は軽減され、「クラウン病」の予防になると思います。


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