- ハスコ・バルブコッターツール
- この工具は、バルブステムシール交換が、シリンダーヘッドを降ろさずに出来てしまうという優れものです。
ヘッド分解で一番手間がかかるのは、バルブと、ステムシールの取り外しです。
特に、バルブスプリングの取り外しは、スプリングを圧縮している間に、コッターを取り外しますが、24バルブともなれば、結構面倒な作業です。
最近の、カム直打式のDOHCエンジンでは、バルブスプリングが、リフターホールの中に隠れてしまっていますので、さらに作業しにくくなっています。
そこで、私が使用している工具を紹介します。
ハスコの「バルブコッターツール」です。
この工具は、バルブステムシール交換が、シリンダーヘッドを降ろさずに出来てしまうという優れものです。
通常は、バルブステムシールを交換するには、ヘッドを降ろさないと出来ませんが、プラグ穴から、エアーを送って圧力をかけるので、上からスプリングを押せば簡単に、バルブコッターが取り外せます。
簡単といっても、
バルブスプリングを圧縮するには、そうとうな力が必要で、
しかも「5番シリンダー」「6番シリンダー」になると、エンジンルームの奥のほうになるので、力が入りづらく、24本作業を終える頃には、腰が痛くなります。
しかし、ヘッドを降ろす手間を考えたら、かなり効率良く作業できます。
しかしこの工具は、降ろしたヘッドに使用することで、最高の能力を発揮します。
使い方は至って簡単で、ヘッドを作業台に乗せて、画像のように、上からハンドルを押して、一瞬スプリングを縮めます。
ると自動的にコッターが外れて、外れたコッターは先端のマグネットに吸い付けられます。
一般に使用されている、U型のスプリングコンプレッサーだと
ヘッドの表裏から、挟み込むように工具をセットしますので、
ヘッドを浮かすなり立てるなりして、1本外す毎に、工具をセットし直さなければなりません。
それに比べれば、この工具だと、バルブを24回押すだけです。
全てのバルブを外すのに、5分もかかりません。
コッターを外す時より、はめる時の方が、手間がかかります。
この工具の一番の特徴は、コッターをはめる時も、ハンドルの先端を交換して使用できるところです。
バルブスプリングをセットして、コッターを最初からリテナーに乗せておきます。
ハンドルを押せば、自動的にコッターが、スプリングリテナーに収まってくれます。
意外と苦労するのが、ステムシールの取り外しです。
ノーズプライヤーで簡単に取り外しできそうですが、
ゴムが「カチカチ」に硬化していて取り外すのには、かなりの力が必要です。
無理にこじると、リフター穴の内壁に傷を付けてしまいます。
そこで、ステムシールの取り外しには「バルブシールプーラー」を使用します。
先端がドリルの「チャック」みたいな構造になっています。
一つ外すのにかなり苦労していたのに、
これを使えば、あっさりステムシールは外れてきます。
取り付け時にも使用できます。