- 不具合の症状
- いわゆる、クラウン病ではありませんが、ハンドルをいっぱいきって旋回すると、外側タイヤが「ズズズズ」となって、スリップするような感じになる。
- 直進でハンドルがぶれるような事はない。
- 不具合箇所の予想
- とにかくジョイント部分のがたをなくす事!
ステアリング廻りに違和感があると言う事で、ディーラーなどである程度部品は交換済みだそうです。
ストラットバークッション・アッパーアームブッシュを新品に交換してありました。
さらにステアリングシャフトのベアリングも交換済みのようです。
乗った感じでは直進時はまったく問題なく、ステアリングの感触は悪くありません。
しかしフルロックまでステアして旋回するとあの「ズズズズ」の現象が!
・・・左右ともなりますが、右のほうが強く症状が出ています。
このクラウンの場合、タイロッド左右のボールジョイントがあまいのと、
ロアアームボールジョイントも若干がたがでている模様。
アイドラアームとピットマンアームは問題ありません。
とにかくクラウンのステアリング廻りは、ガタつきやすいので、
すべてのジョイント部分のガタをなくせば新車時に近いフィーリングが蘇ります。
タイロッド左右とアームのボールジョイントとロアアームブッシュを交換することにしました。
なぜか、ボールジョイントはロアアーム側の方がい傷み易いです。
ロアアームボールジョイントはかなりガタがありましたが、アッパー側はそれ程でもありません。
しかし交換することにしました。
ブッシュもやはりロアアーム側が傷み易いです。
アッパーアームはA型で二個ブッシュを使っていますが、ロアアームはI型で,、ブッシュは一個なので傷み易いのかもしれません。
クラウンの場合、ロアアーム側にストレスが集中するようで、ブッシュもボールジョイントもロア側のほうが傷んでいます。
アッパーアームブッシュの交換はかなり手間がかかる作業なので、ひどい状態でなければ、ロアアームブッシュとロアアームボールジョイントの交換で十分、状態が良くなります。
ロアアームブッシュ&ジョイントの交換でしたら、車載状態のまま交換することも可能です。
タイロッドのジョイントは、もうグラグラでした。
タイロッドエンドのジョイントが、クラウンのステアリング廻りで最もグラつき易いかもしれません。
車検の時サイドスリップ調整で、タイロッドの調整チューブが錆付いているのに、無理やり回してグラグラになっている場合が多いです。
自分も車検の時、どうしても硬くて回らないクラウンのタイロッドチューブを、パイプレンチで無理に回した事がありますので良く分かります。
回す時もろにタイロッドエンドのジョイントに負担がかかりますので、傷んでいるジョイントにとどめを刺す事になります。
サイドスリップの調整は、タイロッドの長さを変えてトー調整しますが、
車検時は+−5が合格ラインです。
タイロッド一回転で、車種にもよりますが、10くらいはサイドスリップ値が変化します。
・・・と言う事は、半回転も回せば、車検に受からなくなる可能性大です。
それくらい微妙なのです。
サイドスリップの調整で注意しなければならない点は、タイロッドの左右の長さを同じにする事です。
車検で、サイドスリップの調整の際、片側のタイロッドで調整してしまうと、左右の長さが変わってしまい、ステアリングのセンターも狂ってしまいます。
ステアリングのセンターは、ステアリングを外して、角度をずらして付け直して合せてはいけません。
必ず左右のタイロッドの長さを調整して、ステアリングのセンターを合せるようにします。
タイロッドを僅かに回しただけでもステアリングの角度が変わります。
逆に言うと、タイロッドの調整でステアリングのセンターを合せれば、相対的に左右のタイロッドが同じ長さになります。(ステアリングを外して位置を変えていなければ!)
直進時、右にステアリングが切れていて修正したい場合、タイロッドでさらにタイヤが右に向く方向に調整してやれば、直進時のセンターは左に移動します。
ステアリングのセンターは、クルマのアライメントの僅かな変化に影響されます。
クラウンの場合ローダウンすると、リヤのホーシングが横にずれてしまいます。
この変化も、ステアリングに現れます。
もし調整式のラテラルでホーシングの位地を調整するのであれば、ステアリングの位地が元の位置に戻るように調整してやれば、適正に調整できた事になります。
けして、ボディーとタイヤ面の出具合で調整してはいけません。
ボディーだってフレームに対してきっちり左右均等になっているか怪しいですから!
ステアリングのセンターは、アライメントのセンサーです!・・なーんて、でも本当です。
むやみにステアリングを外すのはやめましょう!
せっかくのメモリーがパアになりますぞ!
タイロッドはアッセンブリーで交換しました。
エンドだけの交換も可能かと思いますが、エンドがダメなら、内側もまずダメです。
これで、ステアリングリンケージのアイドラアームとピットマンアーム以外は、全て交換した事になります。
さらに、ボールジョイント&ブッシュも交換したので、フロント廻りのジョイント部分はほとんど交換したので、新車とまではいかないにしても、新車時に近いステアリングの感触が蘇るはずです。
ステアリングをいっぱいまで切った時の、「ズズズ」の対策として、アームの内側にシムを入れて角度調整しました。
作業後に試運転しましたが、かなり良い感じになったと思います。
フルロック時の「ズズズ」もならなくなりました。
・・・と言う事は、旋回時にステアリングリンケージに負担が少なくなっているので、ジョイントのがたもでにくくなり、さらには「クラウン病」にもなりにくくなったと思います。
この先も末永くこのクラウンに乗ってください。